地下銀行とは 地下送金の影響と日本での利用リスク

あなたのお金を海外の誰かに送りたい時、銀行か資金移動業者の海外送金サービスを利用して送るのが一般的です。

しかしながら、公式な許認可を受けた銀行や資金移動業者といった正規の機関ではない、「地下銀行」というサービスが存在します。

国外に居住する知人などと協力して、許可や登録を受けていない状態で海外送金(外国為替取引)などの業務を行う事業が、一般に「地下銀行」として知られています。銀行法違反であり、合法的な方法ではなく、しばしば犯罪活動や資金洗浄に利用されること知られています。

目次

なぜ地下銀行が存在するのか?

正規の銀行や資金移動業者などでは、マネーロンダリングとテロ資金供与の防止の観点から、外国為替及び外国貿易法等の法律に基づき、本人確認が求められています。

そうすると、不法に滞在する外国人は正規の銀行などを使っての送金ができないため、無免許で銀行業を営む者に送金を依頼することで本人確認を回避するのです。

地下銀行というと、マフィアなどの大がかりな組織をイメージしてしまうが、個人で行うこともできるので、大規模な組織とは限りません。

また、送金手数料も安価であったり、送金までの期間が比較的短いといったメリットもあるため、「地下銀行」が営まれるというわけです。

不法に滞在している外国人でなく、正規滞在の外国人であっても、上記のメリットから「地下銀行」を利用してしまうこともあるようです。

地下銀行(地下送金)の影響

  1. 資金洗浄と犯罪活動:
    地下銀行は、不正な資金の移動や資金洗浄に利用されることがあります。犯罪組織は、金銭を合法的な経路を経ずに移動させるために地下銀行を活用し、その資金の出所を隠すことがあります。
  2. 経済への悪影響:
    地下銀行が広がることで、正規の金融システムに資金が流れることが減少し、結果的に国の経済に悪影響を及ぼす可能性があります。正当な税金や手数料の支払いが回避されるため、国の予算にも影響を及ぼす可能性があります。
  3. 規制の回避:
    地下銀行は金融規制を回避しやすいため、合法的な金融活動を行っている個人や企業も不正行為に手を染める誘因となることがあります。これにより、公正な競争環境が損なわれる可能性があります。

日本での地下銀行(地下送金)の利用リスク

  1. 取引の不確実性:
    地下銀行は非公式の仕組みであるため、取引が不確実であることがあります。取引の際に詐欺やトラブルが発生するリスクが高まります。
  2. 資金の保護の欠如:
    正規の銀行や金融機関と異なり、地下銀行では預金保険などの保護がほとんど存在しません。取引先が突然姿を消す可能性もあるため、資金を守る手段が限られています。
  3. 法的な制裁:
    地下銀行を利用することは、多くの国で違法行為とみなされます。このため、関与することで法的な制裁を受ける可能性があります。

日本国における法律

銀行法に関する法律

第二条 この法律において「銀行」とは、第四条第一項の内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者をいう。

 この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。

 預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。

 為替取引を行うこと。

第四条 銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。

第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第四条第一項の規定に違反して、免許を受けないで銀行業を営んだ者

https://elaws.e-gov.go.jp/

資金決済に関する法律

第二条

 この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことをいう。

 この法律において「資金移動業者」とは、第三十七条の登録を受けた者をいう。

第三十七条 内閣総理大臣の登録を受けた者は、銀行法第四条第一項及び第四十七条第一項の規定にかかわらず、資金移動業を営むことができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/

なぜ地下銀行は禁止されているのか?

なぜ、銀行や資金移動業者が海外送金にかかわってはいけないのだろうか。

その理由は、不正なお金の動きを防ぐためです。銀行法によれば、銀行法の目的は、銀行の信用を維持し、預金者等の保護を確保することとされていますが、実際には、不正に得られた利益などが海外に送金されることを防止することにも役立っています。

「中国:過去最大級の地下銀行摘発、取引規模1600億円超」
https://www.reuters.com/article/idJP00093300_20160722_00520160722

「地下銀行で不正送金疑い、ベトナム国籍の男女3人逮捕 十数億円入金か 栃木県警」
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/625248

まとめ:

地下銀行はその非公式な性質から、金融犯罪や経済への悪影響など多くのリスクを伴います。正規の金融システムと比較して、取引の不確実性や資金の保護の欠如などが問題とされています。

個人や企業が金融取引を行う際には、合法的な手段を選択し、地下銀行のリスクを避けるよう心がけることが重要です。

また、国や国際的な組織は地下銀行の拡大を防ぐために、適切な規制と監視の強化を行うことが求められています。

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